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いまステーキブームがきてる!日本が考えるべき「肉革命」とは

ステーキブームがきてる!

いま日本にかつてないステーキブームが起こっています。数年前からジワジワ熟成肉のお店が増えていましたが、昨年2月に六本木にオープンした「ウルフギャング・ステーキハウス」がそのブームを決定づけたと言ってもよいでしょう。

そして今も毎月のように熟成肉のお店がオープンしています。そんな中、10月17日(土)から、世界一のステーキを探すロードムービー『ステーキ・レボリューション』が公開されます。本作の内容も踏まえながら、私たちのお肉の未来について考えてみましょう。

急速に変化する世界のお肉事情

■10.17公開『ステーキ・レボリューション』予告編

 

本作は監督のフランク・リビエラと、パリでいちばんの精肉店の店主イヴ=マリ・ル=ブルドネックと共に、2年間の「世界最高のステーキを見つける旅」に出るというドキュメンタリー作品。

20カ国、200を超える有名・無名のステーキハウスを食べ歩き、肉にまつわるあらゆる知識が詰まった新たなお肉の教科書とも言える作品です。グルメに関心のある方には絶対におススメですが、本作の見どころはそこだけでもありません。

アメリカではかつては証券マンや作家になるようなエリート達が、あえて肉牛農家となるアントレプレナー・レボリューションが起こっていたり、スウェーデンでは、MBAを持つ物理博士が「和牛」を肉牛として飼育し、とてつもない高額売買を叩き出す和牛レボリューションを起こしていたり、世界のお肉事情が急速に変化しています。

変わる日本のお肉事情

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これまで日本ではサシが霜降り状に入った牛肉、サシが入りやすい和牛の「黒毛和種」が高い評価を受けていました。日本で飼育されている牛の6割以上が黒毛です。このように黒毛が多いのは「A5」や「A4」といった日本の牛肉の格付けが、黒毛を基準につくられているからです。サシが入りやすい黒毛は市場で他の品種よりも高値がつきやすいため、生産者は黒毛を優先的に選んできました。

しかし近年では、脂肪が少ない赤身肉への注目度が上昇しています。国産でいえば褐毛(あかげ)と日本短角種の人気が高まっています。輸入物ではほぼ牧草だけで育ち、赤身の味わいが強いオーストラリア・タスマニア産やニュージーランド産といったアイテムの認知度が高まっています。さらに規制緩和によりフランスからシャロレーやフルール・ド・オーブラックなどが入るようになりました。

基本的に熟成はタンパク質が分解するので脂の部分は熟成がかかりません。ですからタンパク質の多い赤身に働きます。サシの強い5等級のように脂の多いお肉は熟成がかかる部分が少ないため、熟成にはあまり向いていません。そのため熟成肉の人気が上がっていけば、自然と赤身肉の需要が増えていくことが予想されます。

飼料からみたお肉革命

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肉の種類だけではなく、お肉革命を考える上で今注目されているのが、グラスフェッドの牛か、グレインフェッドの牛かという点です。グラスフェッドとは、穀物は一切与えず牧草を飼料として与えて育てることを指し、主にヨーロッパ等の外国産赤身肉がこの方法で育てられています。反対にグレインフェッドは、主に穀物を与えて肥育することを指し、霜降りの入った伝統的和牛が生み出されます。

『ステーキ・レボリューション』では、エコロジーの側面からこの点に注目し、美味しいお肉を今後も継続的に食べ続けるためには、グラスフェッドかグレインフェッドかを考える時代がきていると言及しています。

本作で登場するヨーロッパでは、伝統的な放牧で育ったグラスフェッドの牛の肉がメインで輸入されます。イギリス最大規模のハイランド牛の農場があるマル島(スコットランド)では、4歳前後まで自然の草を食べ、3歳から5歳で出荷、人工飼料は一切使用しません。グレインフェッドのように、肥料を与えて“短時間で”牛を育てるのではなく、時間をかけて健康的に育てます。

一方で、アメリカや日本などでは、穀物で育てるグレインフェッドの牛が主流です。肥育期間が長いほど“サシ”が入り、味わいも優れた肉ができます。タンパク質を多く含んだ飼料を使うため脂肪分が多いのが特徴です。脂身が筋肉の中にきれいにつき、大きく霜降りの入った肉を最高級肉としています。

美味しいお肉を食べ続けるには

ニューヨーク州の農場で働くトム・マイラン氏はこういった状況について次のように述べています。

牛に大量の抗生物質を与え、人間のように穀物を与えて育てる工場型の畜産に未来はない。そして肉を諦めず地球を守るためには”環境に優しい100%牧草飼料で牛を育てるしかない。

また、スウェーデンでは胚移植で完璧な和牛を移植して、独自の牧草飼育方法で育てている牧場があり、日本の和牛の味を超える美味しいお肉として超高値で取引されている話も登場します。

牧草飼料で育てるのが自然環境にとって良いのは間違いないかもしれませんが、日本のような国土が狭い国では、100%牧草飼料で牛を育てるのは現実的ではありません。テクノロジーの力で安全性が高く、環境にも優しい道を探すのが次のお肉革命のポイントなのかも知れません。まずは楽しみながら『ステーキ・レボリューション』を見て、これからのお肉の未来について考えてみましょう。映画を見に行く時は、ステーキ店の予約も忘れずに。

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『ステーキ・レボリューション』
2015年10月17日(土)からYEBISU GARDEN CINEMA、109シネマズ二子玉川大阪ステーションシティシネマほか全国で順次公開
監督:フランク・リビエレ
出演:イブ=マリ・ル=ブルドネック
配給:ピクチャーズデプト
公式サイト:http://steakrevolution.jp/